固定残業における欠勤控除について

 固定残業代は、毎月、一定の時間外労働数の割増賃金を定額で支払うものであり、定額残業代、みなし残業とも言われています。この固定残業代を採用するには、①基本給等固定的な賃金と固定残業代が区分して支払われていること、②固定残業代として時間外労働の何時間分に相当するものなのかということ、③固定残業代を超える時間外労働、休日労働および深夜労働に対して割増賃金を追加で支払うことの3つについて、労働契約書や就業規則上、明確になっていればなりません。

 したがって、例えば「基本給30万円(固定残業代を含む)」などとするだけでは固定残業代の要件を満たしていないことになります。また、固定残業代を採用している場合には、残業の有無にかかわらず、固定残業代は満額支払わなければなりません。例えば、月20時間分の残業代を固定残業代としている場合、労働時間が実際には10時間しか残業をしていなくても、20時間分の残業代を支払う必要があります。しかし、仮に労働者が25時間の残業をした場合は、固定残業代を超える5時間分の残業代を別に支払わなければなりません。

 また、固定残業代を導入していることを理由に労働者の労働時間管理が適正に行われていないことがありますが、欠勤、遅刻、早退を含めて労働時間を正確に把握し、固定残業時間数を超える残業の有無を確認する必要があります。

 では、1日1時間分のみなし残業とした場合、欠勤分相当の固定残業代を控除は可能でしょうか。

 次回、この点について説明していきたいと思います。

 

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