労働時間と割増賃金計算の端数処理の注意点(2)
割増賃金の基礎となる時間給の端数処理
時間外労働や休日労働などの割増賃金を計算する場合には、時間給単価に割増率を乗じなければなりません。したがって、時間給の場合はその額、日給制の場合は1日の所定労働時間で除して、時間給単価を算出しなければなりません。
なお、通常は月給制の場合は各月の所定労働日数、所定労働時間数が異なるため、月給額を「1ヵ月平均の所定労働時間数」(年間所定労働日数×1日の所定労働時間÷12月)で除すことになります。この「1ヵ月平均の所定労働時間」の端数を切り上げると、1時間当たりの賃金が少なくなり、労働者にとって不利となるため、端数はそのままにするか、切り捨てて取り扱うこととされてます。
例えば、1日8時間労働で年間休日が120日の場合は次のようになります。
(360-120)÷12×8=163.3333・・・・
このような場合、163時間または163.3時間(そのままでも可)とし、切り上げて164時間や163.4時間にすることはできません。ただし、1時間当たりの賃金額および割増賃金額の1円未満の端数については、事務の簡便化のため50銭未満切り捨て、50銭以上1円未満を1円として処理することは認められています。
また、1ヵ月間における時間外労働、休日労働、深夜労働のそれぞれの割増賃金を計算する際、その総額に1円未満の端数が生じた場合には、50銭未満切り捨て、50銭以上1円未満を1円として処理することも認められています。賃金計算の端数処理については、就業規則または賃金規程で定めて正しく計算しましょう。