育児休業中の傷病休職および傷病手当金の請求について
育児休業中の傷病により傷病手当金と育児休業給付金は併給できるのか、また育児休業中に傷病休職請求はできるのかを考えてみたいと思います。
雇用保険法の雇用継続給付としての育児休業給付金は、出産後も離職することなく、原則として満1歳未満の子を養育するために育児休業している雇用保険の被保険者の生活保障のために支給される保険給付です。保育所待機等一定の条件に該当した場合には、最長2歳まで育児休業期間が延長され、その間は育児休業給付金の支給期間も延長されます。
他方、傷病手当金は健康保険の被保険者が私傷病で継続して3日間の待機期間終了後、引き続き働くことができずに休業し、賃金の支払いを受けることができない場合に休業第4日から休業期間中の生活保障のために支給される保険給付です。
育児休業給付金及び傷病手当金のいずれも、休業期間中の被保険者の生活保障を目的に支給されるものですが、異なる保険制度に基づくものであるため同時に支給を受けることができ、その金額が調整されることはありません。
厚生労働省の通達(平4.3.31保険発第39号・庁分発第1243号)によれば、「傷病手当金または出産手当金の支給要件に該当すると認められる者については、その者が育児休業期間中であっても傷病手当金又は出産手当金が支給されるものであること。なお、健康保険法の規定による傷病手当金又は出産手当金が支給される場合であって、同一期間内に事業主から育児休業手当等で報酬と認められるものが支給されているときは、傷病手当金又は出産手当金の支給額について調整を図ること」となっています。