能力不足解雇 判例その1ー2
前回見たように会社側としては労働能力や適格性に欠けるとして主張しましたが、裁判所はこれを退けています。
会社側の「やる気がない、積極性がない、意欲がない、協調性がない」という主張は、これらを裏付ける具体的な事実の指摘はないとして会社側の主張を認めていません。
裁判所は就業規則に示されている解雇事由を限定的に捉えており、これに該当するためには「平均的な水準に達していないというだけでは不十分で、著しく労働能率が劣り、しかも向上の見込みがないときでなければならない」としています。
また、相対的な評価を前提にすることは相対的に考課順位の低い者の解雇を許容することになり、それは認められないとしています。
向上の余地についても平均的前後の試験結果であった技術教育を除き、教育・指導が行われた形跡がないとして体系的に教育指導を行えば、向上の余地ありとしています。