就業規則をポータルサイトに掲示していても労働者からコピーの交付を求められたら拒否できる?
2024年4月から、労働条件の明示に関するルールが改定されています。それに伴い、就業規則の周知に関して次のような要件が追加されたことに注意しなければなりません。
『就業規則の周知については、平成11年3月31日付基発第169号「労働基準法関係解釈例規の追加について」において、「就業規則等を労働者が必要な時に容易に確認できる状態にあることが『周知させる』ための要件である。」と示しているところであるが、具体的には、使用者は、就業規則を備え付けている場所を労働者に示すこと等により、就業規則を労働者が必要な時に容易に確認できる状態にする必要があるものであること』(令5.10.12基発1012号)
ところで、「就業規則のコピーの要求があった場合にそれに応じなければならないか」についてですが、会社にそのような義務はありません。ポータルサイトに掲載していてもコピーできないようにしている会社もあります。コピーに応じるか否かは会社の判断です。コピーに応じても外部持ち出し禁止にすることもできます。
なお、退職した労働者から、残業代の未払い請求のためや退職後の競業禁止義務の確認のために就業規則の交付や閲覧を求められることがあります。このような場合の対応についても、退職後に会社の就業規則の閲覧を認める法律上の義務はありません。すでに退職している以上は、その会社の労働者ではないので、労基法上の周知義務の対象ではないと考えられるためです。交付または閲覧に応じるかどうかは会社の判断ということになります。