休日出勤した社員から振替休日を半日ずつ2日に分割して取得したいと申し出があった場合の対応は?
仕事が忙しいときに、社員に休日出勤を命ずる場合があります。労働基準法上、使用者は労働者に対して、少なくとも週に1回(または4週を通じて4日以上)の休日を与えなければなりません(第35条)。これを法定休日といいます。また完全週休2日制を採用している場合は、法定休日を上回る法定外休日を与えていることになります。
繁忙期などに、いずれの休日であっても社員に休日出勤を命じた場合の代替措置として、所定の労働日を休日に振り替えることがあります。これを「振替休日」といいます。
休日出勤に対する振替休日を、何らかの定めもなく一方的に命ずることはできません。振替休日を行うためには、就業規則または労働協約(以下、就業規則等)において、休日と労働日を事前通知により振替ができる旨が定められているか、または、労使間で休日の事前振替をする旨の個別同意がなければなりません。
したがって、会社は休日出勤をした社員に対して、振替休日を行う場合には、休日出勤前にあらかじめ振り替えて休日となる労働日を指定する必要があります。休日出勤をさせた後に休日を指定することは、振替休日とはならず、代休(休日出勤をさせた代わりに後に任意の日に休日を与える措置)となってしまいます。なお、振替休日による場合でも、前述の法定休日は確保されなければなりません。
ところで、休日とは、労働契約において労働義務がないとされている日をいい、原則として暦日(午前0時から午後12時までの24時間)を単位としています(昭23.4.5基発535号)。
したがって、振替休日も暦日を単位として与えなければならず、半日に分割することは休日を与えたとは見なされません。半日でも労働するということは、その日は労働日となり、休日を与えたことにならないのです。
なお、前述のとおり、休日には法定休日と法定外休日があります。法定休日出勤を振替休日とする場合には暦日24時間で与えなければなりませんが、法定外休日については半日単位での取得が可能です。したがって、振替休日の運用にあたっては法定休日が確保されている限り、法定外休日の振替休日については、半日単位で取得することも可能である旨を就業規則等で定めておくなどの対応が必要でしょう。
休日出勤については、それが法定休日出勤であれば、割増賃金として休日出勤の労働時間に応じて1時間当たり3割5分以上の割増賃金を支払わなければなりません。しかし、振替休日による場合には、休日と労働日を振り替えたことになるので割増賃金の支払いが不要となります。
しかし、振替休日が休日出勤と同一の週内で行われることなく、週をまたいで振り替えるなどにより、結果として休日出勤をした週の労働時間が法定労働(週40時間)を超えた場合には、その超過分につき1時間当たり2割5分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければなりません。
法定外休日に出勤した場合についても、週1日の休日は確保されているとはいえ、法定外休日に休日出勤をさせた結果、週40時間を超えて労働させることとなった場合には、その超えた労働時間については割増賃金を支払わなければなりません。なお、法定外休日については、割増賃金を支払うことで振替休日を与えないとすることができます。