短時間労働者の健康保険・厚生年金保険適用要件について
平成28年10月1日より健康保険・厚生年金保険の適用対象者が拡大され被保険者501人以上の特定適用事業所に勤務する短時間労働者が適用対象となってから2年が経過し、運用にも慣れてきた頃だと思いますが、最近その適用要件について誤解されている事案がありましたので、再度確認してみましょう。
ご存知の通り、従来からのパートタイム労働者についての健康保険・厚生年金保険適用基準である4分の3基準を満たさない場合であっても、次のすべての要件に該当した場合には、健康保険・厚生年金保険の被保険者となります。
〇次のいずれかの特定適用事業所、任意特定適用事業所に勤務していること
・被保険者が常時501人以上の事業所
・被保険者が500人以下で労使合意に基づき申出をした事業所(平成29年4月~)
・国、地方公共団体に属するすべての事業所(平成29年4月~)
〇週の所定労働時間が20時間以上あること
〇雇用期間が1年以上見込まれること
〇賃金月額が8.8万円以上であること
〇昼間部の学生でないこと
錯誤があったのは、賃金月額が8.8万円以上の部分で、これを判断する際に含めなくて良い残業代や通勤手当を含めて対象者を判断していたというものです。資格取得届や算定基礎届に記載する報酬月額については、時間外手当、通勤手当等も含めた金額となりますので、そのように思い込んでしまったようです。
適用開始時の日本年金機構の案内には詳細まで記載されているのですが、当年の算定基礎届・月額変更届の手引きなどの資料には、残業代や通勤手当についての記載がなくなっていることも錯誤の原因の1つかと思われます。
健康保険・厚生年金保険の適用拡大については、平成29年4月1日から被保険者数が常時500人以下の事業所においても労使合意に基づき申出をする法人・個人の事業所と、国・地方公共団体に属するすべての事業所は適用対象となっており、また厚生労働省で本人の月収要件を8.8万円から6.8万円以上に引き下げるなど加入者を最大で200万人増やす案の検討も始まっているようですので、今後の動向についても目が離せませんね。
詳細は下記、日本年金機構の資料ページへどうぞ
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2016/0516.html