年収の壁対策の施策
年収の壁対策に行われる施策を確認してみましょう。
助成金、手当、扶養認定の円滑化が基本となります。
今までも非正規雇用者の正社員化や賃金の増額に対してキャリアアップ助成金による助成が行われてきましたが、新たに社会保険適用時処遇改善コースを設け、年収の壁を意識せずに働くことのできる環境整備を目指しています。
令和7年度末までに労働者の社会保険加入を進めた事業主に申請人数の上限なしに中小企業の場合最大50万円が助成されるものになります。(2年もしくは3年間助成金を受けた場合、最大50万円となり、1年間だと最大30万円になります。また、これらはすべて中小企業の場合であり、大企業の場合は3/4の額になります。)
手当等支給メニューは、手当等により賃金の15%以上を労働者に追加で支給した事業主に助成されます。
厚生労働省のイメージでは現在年収106万円の方が社会保険(健康保険+厚生年金保険)に加入し、手取り年収が90万円になるところ、手当により16万円を支給し手取り額が106万円から下がらないようにすると示されています。
2年目も賃金の15%以上の手当等を支給した事業主に助成されますが、3年目以降に賃金を18%以上増額させる取り組みが行われることが条件とされています。
そして3年目は賃金を18%以上増額させていることで助成の対象となります。1、2年目は一時的な手当での増額が認められていますが、3年目は基本給を上昇させる、それまでの一時的な手当を恒常的なものにするなど継続的な収入の増加に取り組むことが必要です。
取組後6か月ごとに申請し、1回あたり10万円が支給されますが、1、2年目は2回の支給で年20万円、3年目のみ1回の支給で10万円となります。
2年目に継続的な収入の増加を行い、3回目の申請でまとめて30万円の助成を受けることも可能です。
労働時間延長メニューは週の所定労働時間を4時間以上延ばすか、1時間以上延ばし基本給を増額させた事業主に支給されます。
取り組みから6ヶ月後に支給申請をし、30万円が支給されます。
厚生労働省のイメージでは1年目に一時的な手当を支給し、2年目に労働時間を延長する併用ケースも示されています。
最低賃金の上昇で加入条件を意図せず満たしてしまうことも考えられますので、助成金の活用を検討してはいかがでしょうか。